現代における働く女性は、さまざまな分野でリーダーとして、また家庭や地域でも重要な役割を果たしています。こうした活躍を継続的に支えるために欠かせないのが「ヘルスリテラシー」です。ヘルスリテラシーとは、「健康に関する情報を正しく理解し、評価し、それを活用して適切な判断や行動ができる力」を意味します。単に知識を持っていることではなく、その知識を日常生活や仕事の中でどのように使いこなせるかが重要です。
特に働く女性には、職場での業務に加え、家事や育児、介護など多くの責任がのしかかることが少なくありません。時間的・精神的に余裕がない中でも、自身の健康状態を把握し、必要な医療や支援を受ける判断力が求められます。また、女性にはライフステージごとに特有の健康課題があり、それぞれに応じた知識と対応力が必要です。
たとえば、20代〜30代には月経トラブルや不妊、妊娠・出産に関する問題が多く見られます。PMS（月経前症候群）や月経困難症を我慢し続けて仕事に支障が出るケースや、不妊治療との両立に悩む女性も増えています。また、出産後の育児と復職の時期には、心身のバランスを崩しやすく、うつ症状に悩まされる人も少なくありません。
40代〜50代になると、更年期症状や生活習慣病のリスクが高まります。イライラ、不眠、ほてりといった更年期特有の症状は、周囲から理解されにくく、職場で孤立感を抱くこともあります。これらの体調変化を「年齢のせい」として我慢するのではなく、正しい知識をもって早めに専門家に相談できることが、ヘルスリテラシーの実践に他なりません。
また、心の健康も大きなテーマです。職場の人間関係、昇進へのプレッシャー、家庭との両立による負担などから、女性は精神的ストレスを抱えやすい傾向にあります。自分のストレスサインに気づき、カウンセリングや医療機関への相談に結びつける力も、ヘルスリテラシーの一環です。
重要なのは、情報の「質」と「信頼性」を見極める力です。インターネットやSNSには健康に関する情報があふれていますが、その中には根拠のない民間療法や、過剰な不安をあおる情報も少なくありません。信頼できる医療機関の情報や、行政・専門団体の発信をもとに、自分の状況に合った知識を得ることが大切です。
また、職場におけるヘルスリテラシーの向上も、組織全体のウエルビーイングを高めるために有効です。健康経営に取り組む企業では、従業員向けに健康教育やセミナーを実施し、正しい知識を浸透させています。産業医や保健師による面談や、相談体制の整備もその一部です。
加えて、女性自身が自分の状態を把握するセルフモニタリングの習慣も推奨されます。体温・体重・睡眠・気分の変化などを記録し、変調に早く気づくことが健康維持に直結します。アプリを活用した健康管理も身近な方法です。
最後に、ヘルスリテラシーは「知識を得て終わり」ではなく、「行動に移すこと」で初めて力になります。検診を受ける、無理をせず休む、悩みを相談する、健康に良い習慣を継続する——これらの行動の積み重ねが、自分自身のウエルビーイングを支える確かな基盤となります。
働く女性が自身の健康について正しい知識と判断力を身につけ、自信を持って行動できる社会こそが、真の意味でのジェンダー平等とウエルビーイングを実現する社会といえるでしょう。
メディエイトの「働く女性のためのウエルビーイング」では、女性の健康に関する各専門家（女性産業医、保健師、ウエルネストレーナー、）がメンタルヘルス、フィジカルヘルスの両面から働く女性のウエルビーイング向上を支援致します。
働く女性のためのウェルビーイング編集部
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